囂庵コラム アーカイブ

サマータイム

注:2018年8月7日の FB投稿を基にリライトいたしました。

今日の芭蕉句

足洗うてつひ明けやすき丸寝かな 芭蕉
(あしあろうて ついあけやすき まるねかな)

貞亨五年四月下旬。「笈の小文」の終点須磨明石にて。と。

夏は陽が長いので、旅もつい、ハードスケジュールになる。
やれやれと宿についてバタンキュー。
あっという間に朝が来る。

たとえば、貞享五年四月二十日(西暦1688年5月19日)の、明け六から暮れ六まで歩き回ると、関西では、おおよそ午前4時15分から午後19時32分までの15時間17分のハードワークとなる。

さらに当時は、15時間17分働いても12時間分の賃金っうことだから、暑い盛りに給料据え置きで拘束労働時間がドカンと増える江戸時代の労働者はたまらんですな。

聞くところによれば、2020東京オリンピックの運営のために、サマータイムを導入とかいっちょるが、気分は、江戸時代の不定時法適用とちっとも変わらんと余は思うわな。

おそらく、屋外競技は早朝と夕方にはじまり、10時くらいから14時くらいの間は休憩とかいってごまかす。

おまけに、TV放映権の都合で深夜早朝競技もバンバン。

つまり、サマータイムなんて、ボランティアやスタッフを24時間働かせるための呼び水っうパラドックスよ。

少なくとも深夜早朝の「早朝」を法律的に「並みの朝」とし、深夜はうやむやにぼかすというのが、サマータイム法の骨子だわさ。

まさに、サマータイム法は、2020オリンピック働かせ方改革法案となるわけだ。

江戸時代とは大きく違うのは、増えた拘束労働時間に対して当然ながらペイがあることだわさ。

経済効果7千億円とかいうが、増えた拘束労働時間に対するオーバーワーク諸々の経費がこの正体だっうことにすぎない。

経済効果なんて言うの卑怯だわさ。

恐ろしくて冷や汗が出る。

暑いと体が疲れると思いがちだが、実は、脳が疲れるんだとさ。

なおさら反対じゃわい。

足洗うて寝てまへ森の老ひたぬき 半可ξ
(あしあろうて ねてまへ もりのおいたぬき)

寒い話だから季語は「たぬき」冬。

            2018/8/16追記