写真には「東海道の大通り」と未開通時期(?)の「新橋品川間の鉄道線路」が仲良く写っている。
明治五年九月十一日(1872年10月14日)の新橋横浜間の全線営業に先駆け、明治五年五月七日(1872年6月12日)には、すでに品川横浜間の仮営業が始まっていた。この写真の発表のおよそ四ヶ月も前のことだ。そしてこの写真は、全線営業の「二日後」に発行されたタブレット紙に添付されていたものだ。
ファーイーストの発行日付に注目してなんか考えるのも面白そうだ。
さてさて、話変わって、およそ2年前、囂kamabisuan庵ジジイはこの写真が品川高輪あたりから芝方面を写していると分かっていても、「古写真」を愛する者として、もっと正確にその撮影の場所を知りたく、親友のShadeさまのお出ましを得てシミュレーション検証を試みた。
最近ありがたくも、そのシミュレーション結果を囂kamabisuan庵にとリクエストをいただき、早速掲載はしたものの、どうもクオリティーがイマイチで、再度作り直しをすることにした。
ところがそれが幸か不幸か、作り直し過程で 2020年にシミュレーションして発表した撮影場所が間違っていたのでは?と気付いた。
新たにシミュレーションをし直し、検証した結果、やはり前回はアウト!
高輪築堤写真のように、具体的に特定できる場所が「現存」しない場合、シミュレーション屋としては、古地図や資料を頼りにある程度「推測・仮定」の状態から作業をする。
先ず、写真の撮られた時代に近い地図を探す。 次に、それと現在の地図とを重ね、現在ならば「どこどこ」と判断できるようにする。 具体的には、地図をテンプレートとして直接画面に取り込み、その上に一つ一つオブジェクトを載せていく。
ここで使用した地図が、各オブジェクトの配置の「モノサシ」となるわけだ。
オブジェクトを乗せ終えたら、ここから、そこから、あそこからとアングル条件を様々変えてシミュレーションを行い検証する。
ゆえにオブジェクト配置の正確性がシミュレーション検証の基本となるのだ。
ああそれなのに、残念ながら前回は、その「モノサシ」の精度がイマイチだった。
当然ながら、明治十一年生まれの地図殿には何の落ち度はなく、ただただそれを利用した囂庵ジジイの頭の精度の方が致命的な問題だった。
囂kamabisuan庵ジジイには、笞打ち100回の刑を与える代わりに誰もが納得出来る合理性を持った結論を引き出すべしとのご沙汰が下った。