囂庵コラム アーカイブ

凡庸時代

今日の芭蕉句

写真のない時代の人物の姿形は想像するより他はない。

たとえ肖像画などが残っていても、その人物の一時の姿でしかない。

そこで余は、おのが頭で歴史上の人物の気になる時代の姿を想像で描いてみることとした。

今回は忠右衛門宗房時代の「芭蕉」の顔だ。

弟子の許六が元禄六年に描き残した画から、若者の時代の芭蕉の姿をトレースしてみた。

目元はキリリ、眉もキリリ、小さめの唇、大きめのスジが通る鼻、面長、大きめの耳たぶ、総合的に顔立ちは「ジャニーズ系」とでも。身長はそれほど高くはなく、おそらくそれほど目立たない存在の青年であったろう。
ヤットーの方も自ずとヤワ、とても得意とは思えない。
文才があるかとといえば、この時期の句を見て、僭越ながら、余の評価ではレベルは「人並み」。

そんな凡庸な宗房を、だれがあの俳聖芭蕉まで導いたのか、余にはとても興味のある問題だ。

では、寛文十一年、28歳宗房時代の句。

  春立つと わらはも知るや 飾り縄

2016/12/26