渋谷さんは、明治期の写真撮影スタジオの構造は、一般に北に開口部を持ち、ホリゾントは南側に配置されたことから、そのまま上野彦馬のスタジオ配置にもこのルールを当てはめられたので、前出の発言となる。
しかしながら、カメラが南を向くスタジオでは、基本的に日中は逆光となり、背面の南面ホリゾントに、太陽光による「三角の光り」(A) が出来る可能性はかなり限定される。
太陽が南面のホリゾントに当たるのは、夏至を挟んで秋分の日から秋分の日まで(おおまかに夏季の間)は可能だが、上野彦馬の写場の奥は、天地及びサイドが遮光される構造になっており、ホリゾント中央に△の光を得る条件はかなり厳しい。
まずは一番条件の良い夏至の日の太陽は、ホリゾントにどのように当たるかを、余の作成したシミュレーション映像でご覧頂きたい。
一番条件の良い夏至の日の状態がおわかり頂けたところで、次回は、条件がさらに悪くなる筈の他の日を見ていこうと思う。
天国の井上俊三に代わりて 今日は、ここまで。