おもろ32

天国の井上俊三に代わりて 三角形の光 (2)


写場の東側の小壁をわざわざぶち抜いて作ってみました。


嘉永期の建物レイアウトに、説明治初年の写真をもとに建物を配置

写場(写真スタジオ)が南を背に北側から人物を撮影し、かつ坂本龍馬写真のような△の光り漏れを得るには、写場のサイドの小壁をぶち抜いて、さらに太陽角度にあわせて、バックに床と一辺が平行になる△の光り漏れをつくる仕掛をしなければなりません。

同時に、この場合、太陽光線は人物までダイレクトに当たってしまうため、東側は大きな布か何かで光線を遮断しなければ写真のようにはなりません。 さらに太陽光線がサイドからバックに流し込まれた場合、△の仕掛によってできた△の光り漏れは、時計の針のように太陽の動きに従って回転をします。

ゆえに龍馬写真のAのように、バックに現れた△の上の辺が、床と平行になるのは一瞬の出来事なのです。

もし、この写真、カメラが南を向いた状態で撮影されたとすると、極めて特別な時間をあえて待って、△光り漏れを感光させたとなるのです。

むろん、単なる偶然かも知れませんが、むりやりサイドの壁を破ってまでして、そんなことを企むかどうかは疑問です。

しかも、これでは他の写真の三角がその都度壁に穴を開けなければ出来ません。

渋谷さんは、明治期の写真撮影スタジオの構造は、一般に北に開口部を持ち、ホリゾントは南側に配置されたことから、そのまま上野彦馬の写場配置にもこのルールを当てはめられましたが、ご本人も推測と断られておりますのでそこは追求致しません。

余は、カメラが南を向く写場で、わざわざサイド壁をぶち抜き、できる「三角の光り」の、shade13シミュレーションをご覧頂き、こんなことしてまで(A) が出来る写真をとりゃせんでしょと、念を押しておきましょう。

前回、次回は条件がさらに悪くなる筈の他の日を見ていこうと思うと書きましたが、それは次のステップで。

それでは天国の井上俊三に代わりて  今日は、ここまで。

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