おもろ53

すんません出港させて下さいとか

このアメリカの郵船は、明治五年の長崎港パノラマ写真の二枚にかけて写っており、おもろ52でも紹介したように、撮影のタイムラグの間に、数メートル(10mくらいか?)の距離を移動している。

二本マストのこの外輪船は、おそらくアメリカの郵船「ゴールデンシティー号」と思われる。

実際に「ゴールデンシティー号」が長崎経由のサンフランシスコ上海定期航路に就航していたかとか、船のスペックなどの詳細データを余は持ち合わせないので、ここら辺の話は、余の推測であることをお断りして話を進めよう。

件の郵船の長崎港に寄港している別の写真がある。長崎大学のアーカイブ#1007の写真で、これは横浜の外字新聞の西暦1870年2月16日(明治三年一月十六日)に添付されているとある。

船のデザインは明治五年のパノラマ写真に写る郵船そのものである。

さて余のCGシミュレーションの長崎湾の上空からの図であるが、件の郵船・龍驤・春日・日進?の配置がよくわかる。

ちなみに、各艦の寸法は基本dataに基づいてはいる。

ほかの艦船については相当に適当・アバウトな配置であるので参考程度に笑って見てちょうだい。

水深線は明治初年度の海図より写し取った。こうして見ると、当然ながら、大型艦は水深7・8mの湾の中心地域に停泊していることがわかる。

パノラマ写真で見ると広々した長崎湾も実は大型船にとっては、実は少々窮屈な港だったようだ。

そこに今回の天皇様のご巡幸だ。

はじめに龍驤・春日の奥後方に係留していたと思われる郵船ゴールデンシティー号(?)は、畏れ多くも天皇様の艦隊の真ん真ん中を突っ切って外洋に向かうわけにはさすがに行かない。

丁度パノラマ写真撮影のそのとき、郵船ゴールデンシティー号(?)は龍驤を避けて大きく迂回をし、図示したコースをたどろうとしていたのではと余は思うのだ。

CGの龍驤は鳥羽における船影をそのままトレースし、スケール211呎(64.3m)にて使用した。ゆえに、飽の浦のパノラマ写真の船影とピッタンコとは当然といえば当然。


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