囂kamabisuan庵

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7月2日

元禄二年六月十日
    七日羽黒に参篭して

めづらしや山を出羽の初茄子 芭蕉
(めずらしや やまをいではの はつなすび)

奥の細道旅中、羽黒山で七日間参篭した。
下山後、馬で鶴岡に行き、鶴岡藩士長山重行宅を訪れ宿泊。
そこでの芭蕉・重行・曾良・呂丸の四人で先ずは四吟一巡。

その発句。

続いて

蝉に車の音添ふる井戸 重行
(せみにくるまの おとそふるいど)

芭蕉の(山を出)と(出羽)の掛詞に、重行も(音添ふる)と(ふる井戸)を掛けて返した。

元禄二年六月十日は、西暦1689年7月26日。
とても夏の暑い盛りだ。

いったいどんな茄子料理だったのか気になりますな。

次の日この連句の続きを行うが、芭蕉さんの体調が優れず、中断しつつ、三日目の十二日にやっと歌仙満尾。

やれやれだ。

さて、わが地では茄子はまだ黄色い花を咲かせたばかりだ。

一足先にハマナスが花を終え、実をつけはじめた。
これがまっ赤に熟れるまでは、まだまだ先。

オラも掛けてみた。

ピリカ笑む知床の浜茄子の花 半可ξ
(ぴりかえむ しれとこのはまなすのはな)

国後が更に遙か彼方になってしまったのを悲しみつつ。


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7月4日

我が宿は蚊の小さきを馳走かな 芭蕉
(わがやどは かのちいさきを ちそうかな)

元禄三年夏中の発句。

膳所の幻住庵に、元金沢藩士の秋之坊を迎えた折の歓迎句。だと。

こぢんまりとしていても、清楚でこころ落ち着く庵でしょというところを、「斯」く様にと、小さき「蚊」を掛けて洒落ている。

幻住庵は、元禄三年三月頃から膳所の義仲寺無名庵に滞在していた芭蕉が、オーナーの膳所藩中老菅沼曲水の奨めで、元禄三年四月六日から隠棲している小庵。

ここで「幻住庵記」を著した。

さて、
小さい蚊のおもてなしもやはり小さい羽音をプウーンとたててやってくるんでしょうな。

プウーンといえば、余の近頃の手遊び=小学生レベルの電子工作ごっこ=で、オートマチックハードディスク冷却ファン装置を開発中だ。


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マックに外付けしているハードディスクの筐体の外側の温度が30℃以上になったら小型の扇風機が回りだし、29℃以下になったら待機するというだけのもの。

二台のハードディスクとも内部に冷却ファンは持っているが、実は、そいつらがそろって動き出すと、結構「うるさい」のだ。


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小型扇風機作戦でその悪巧みを初期鎮火しようと言うことだ。

現状は、マイコンのArduinoとブレッドボードに部品などを並べてテストしている段階だ。

ほぼ、完璧なので、次は、扇風機にマイコンチップや配線などを組み込んでオールインワンにと目論んでいる。

ちなみに小型扇風機を回すモーターは、数年前に壊れて交換したブルーレイプレーヤーのお皿を回すモーター。

扇風機の羽根は模型屋さんで100円ちょい。

「ジャンク部品を基本に、買えば4桁円製品を作ろう。」だが、本当は、隙だし、ボケ進行緩和策かもと思ってさ。

でも、少し残念なのは、小さいプウーンの音がついてまわることだ。

我が扇は価の小さきを自慢かな 半可ξ
(わがせんは かのちいさきを じまんかな)

蚊の羽音とコスパを意味上で掛けてみました。

今、秋月に注文する部品リストを作っている。

そんで、結局ちょいちょいと高いものになるが、満足度も上がるのでいいべ。


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7月6日

独り尼藁屋すげなし白躑躅 芭蕉
(ひとりあま わらやすげなし しろつつじ)

元禄三年、膳所に滞在中の作とか。

「すげなし」は漢字で書くと、「素気無し」だそうだ。

すげなくするの類語、関連語、連想される言葉をwebから失敬してみた

敬遠する
そっけなくする
距離を置く
あしらう
愛想のない
大切に考えない
受け入れない
蔑ろにする
断る
ハネにする
相手にしない
ソッポを向く
突き放す
無視する
隔てを置く
遠ざける
冷たくする
袖にする
振る
要求を蹴る
ピシャリと言う
はねつける
ヒジ鉄する
蹴飛ばす
ひじ鉄を食わす
粗末に扱う
冷たい
親しまない
適当に対応する
関係を切る
背を向ける
カヤの外に置く
拒否する
蜥蜴の尻尾にする
冷たく当たる
邪険にする
つらく当たる
拒む
つき放す
撃退する
肘鉄砲を食わせる
三下り半を突きつける

芭蕉さんが気になる尼さんの庵でも在ったんでしょうな。

いくらちょっかい出しても、相手にしてもらえなかった!

ただ、白躑躅の植え込みがやけに印象的だったんでしょう。

白躑躅つながりで、

ホオジロの鳴き声は、
「♪源平躑躅(つつじ)白躑躅♪」だそうだ。
「♪一筆啓上仕り候♪」とかもあるそうだ。

さてさて、

ただ今、源平合戦ならぬ、なんじゃら戦の真っ最中。こちらウグイスが「一票よろしく仕りたく候」とわーあわーあとうるさい。

しからば、

民に「すげなし」政治の時代に、一筆啓上仕り候。

一人勝つ平家すげなし青水無月 半可ξ
(ひとりかつ へいけすげなし あおみなつき)

驕る平家にはちょっとご遠慮をいただき、青々と繁る木々の梢に清々しく源氏の白旗がたくさん揚がることをねがって。

追伸。 ホオジロの写真は、余が尊敬する知人のブログから無断で失敬。Danke!


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7月11日

三日月に地は朧なり蕎麦の花 芭蕉
(みかづきに ちはおぼろなり そばのはな)

元禄五年夏の早朝または夕方。
朧に見える一面白の蕎麦の花はどっちらの時間帯を表しているのだろうか。

夏の一日の暑さが、始まるのか? 終わったのか?

与謝野蕪村は後に、

 菜の花や月は東に日は西に 蕪村

蕎麦の花を菜の花に代えた光景だが、

蕪村さんは、芭蕉さんの甘さを心得、言い過ぎを避けて、さらに一歩世界を広げ、しめしめとしたわけだと、余は思う。

蕪村さん。ちょっとずるいよ。 by松尾芭蕉

さてさて、

昨日、向かい風を、物とはせず、
隣の、そのまた隣の市まで、蕎麦を食しに、自転車で。


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目的のお店の触れ込みは、農家のお蕎麦屋さん。


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どっ昼間だから、三日月は出ていなかったが、
お蕎麦屋さんの敷地内の、半反(150坪)程の蕎麦畑は見事な花盛りだった。


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この畑から150〜160人前の蕎麦が取れるとご亭主。
つまり、一坪の畑からセイロたった一枚。


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ちなみに、お米は、一坪の田から玄米で1.4kg位。

比べてみて、なんて非生産的!なことか。
いやいや、貴重な恵みであることか。

さてさて、

肝心のお蕎麦の方は、とてもおいしく頂きました。

六里半輪行の午蕎麦の花 半可ξ
(ろくりはん りんこうのひる そばのはな)


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7月12日

幻住庵の記

石山の奥、岩間のうしろに山あり、国分山といふ。
そのかみ国分寺の名を伝ふなるべし。

(おおはばに中略)

かく言へばとて、
ひたぶるに(一途に)閑寂を好み、
山野に跡を隠さむとにはあらず。

やや病身、
人に倦んで(人間関係に退屈して)、
世をいとひし(世間を厭らう)人に似たり。

つらつら年月の移り来し拙き身の科を思ふに、
ある時は仕官懸命の地をうらやみ(嫉妬したり)、
一たびは佛籬祖室(仏教・禅門)の扉に入らむとせしも、
たどりなき(あれこれ迷いつつの)風雲に身をせめ、
花鳥に情を労じて、
しばらく生涯のはかりごとと(人生がうまく行き)さへなれば、
つひに無能無才にしてこの(体たらく)一筋につながる。

「楽天は五臓の神を破り(白楽天は詩作に苦しみ)、老杜は痩せたり(杜甫は心身をすり減らした)。賢愚文質の等しからざるも(とても及びもつかないが)、いづれか幻の住みかならずや(どっちも幻の住みかの住人にかわりはない)」と、
思ひ捨てて臥しぬ。

先づ頼む椎の木も有り夏木立 芭蕉
(まずたのむ しいのきもあり なつこだち)

芭蕉先生、いささか奥の細道の長旅疲れの中ではあるが、いいや益々、自信満々だ。

さてさて、

先ず頼む清宮も居り夏木立 半可ξ
(まずたのむ きよみやもおり なつこだち)

今は、球場も清宮幸太郎もまだまだこれからだが、4年後の姿が待ち遠し。


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囂kamabisuan庵