囂kamabisuan庵

2016  2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 now
1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12

10月1日

荷兮方にて

世を旅に代掻く小田の行きもどり 芭蕉
(よをたびに しろかくおだの いきもどり)

元禄七年閏五月二十一日に、
膳所の曲水宅より書き送った杉風宛の手紙にある。

あちこちあちこち行ったり来たり。
まるで田圃の代掻きの様落ち着かない人生だわさ。

さもありなんである。

さてさて、あれから一年、北の大地が大揺れして、液状化現象でボコボコになった道路の本復旧工事が終盤に。


拡大する

大きなブルがせっせと土を運んでは押し付けて運んでは押し付けて・・

元をただせば、明らかに、地下鉄工事の埋め戻しがいい加減だったせいでの体たらくだが、誰も責任を取らず、血税がボコボコ注ぎ込まれていく。

責任云々はともかく、因果関係の調査くらいはちゃんと行って記録に残していただきたいものだ。

オリンピック関連の東京の公共土木事業もちゃんとできているのかご時世がら心配でござる。

酔う度に昔自慢の行き戻り 半可ξ
(ようたびに むかしじまんの いきもどり)

この手のことなら、二度三度あっても許します。

10月3日

那谷(なた)の観音に詣づ

石山の石より白し秋の風 芭蕉
(いしやまの いしよりしろし あきのかぜ)

元禄二年八月五日。奥の細道。小松へ向かう途中。

「白し」

清々しい表現ですね。

これで、熱帯夜から解放の季節だわーい。

さすがって思います。

さてさて、

当地このところ、風もだいぶ”白く”なってきたので、
昨日は、近在の歴史的建造物たちの故郷「石山」を超え、豊平川をたどっての汗かきオンバイク。


拡大する


拡大する


拡大する

藤野の蕎麦屋に詣づ

並粉より更科うまし蕎麦の秋 半可ξ
(なみこより さらしなうまし そばのあき)

評判店が近所にもう一軒あるのだが、そこが定休なので、甘千院という甘味と手打ち蕎麦のお店で、並粉と更科の食べ比べをした。

余は、ダントツ並粉派なのだが、本日の感想は先の通り。

ちなみに並粉は「外二」更科は「二八」だそうだ。


拡大する


拡大する


拡大する

10月5日

籠り居て木の実草の実拾はばや 芭蕉
(こもりいて きのみくさのみ ひろわばや)

元禄二年九月四日。

奥の細道旅中、大垣藩家老戸田如水宅に招かれて、よいしょ。

この句に、

御影尋ねむ松の戸の月 如水
(みかげたずねん まつのとのつき)

御家老であろうともよいしょで応えるのが、俳諧の世界ですわ。

さてさて、

処世術のよいしょも、過ぎたるはなほ及ばざるが如しでして、

よいしょ合戦って、お互いにお互いを上から目線で見合っているに過ぎないことだと思いません?

ちょっとしたコントのような、USA大統領とJAPAN総理のベタベタ関係もそんな風に見えてきません?

余が日常手にするUSAものといえば、MACとNikeと牛肉くらいだったが、最近はアーモンドの種にはまっている。

扁桃やもうあと十個あと十個 半可ξ
(へんとうや もうあとじゅっこ あとじゅっこ)

どーせなら、牛も食べないトウモロコシよりもアーモンドにしてもらえばよかったのに・・


拡大する

10月9日

馬方は知らじ時雨の大井川 芭蕉
(うまかたは しらじしぐれの おおいがわ)

元禄四年十月下旬。

江戸東下の途中、島田の塚本如舟宅に泊めてもらう。

馬方は、川人足と違って川止もなく、乗車ならぬ乗馬拒否もせず、乗っけてくれるぜ。ザーザーの雨ん中、申し訳ないが、ああ楽チン助かりマ。

さてさて、

移動のためのベストエナジーが”馬力”であったころ、その馬力から人力へ発想を飛ばした人たちがいた。

八百屋さんと、荷車の車輪作りの職人さんと、旧筑前福岡藩士のおっちゃんがコラボして”人力車”を世に出した。

柁棒を握って、人が引いて走る”人力車”は、Made in Japan。

その後、この美しいフォルムの車両は、アジアを中心に海外へと広まっていった。

英語では人力車を”Rickshaw(リクショー)”と言うらしい。

ほんまかいな!?

ああそれにしても、人力の偉大さよ!!!

こちとらは、時雨模様の日ばかり続き、人力チャリ出もままならず、つまらない。

自転車乗りは知るる時雨の大井川 半可ξ
(チャリのりは しるるしぐれの おおいがわ)


拡大する

10月12日

菊の露落ちて拾へば零余子かな 芭蕉
(きくのつゆ おちてひろえば ぬかごかな)

四十代の作句だと。

冗談でしょっうほどの、駄句中の駄句ですね。

余のような俳句素人に、勇気を与えるという意味では、宜しいんではないでしょうか!

さてさて、

落ちていたといえば、
市内いたるところに売るほど銀杏が落ちています。

おかげでどこの公園も街路樹も怪しく臭う今日この頃です。

草の露落ちて拾へば ξ かな 半可ξ
(くさのつゆ おちてひろえば くさいかな)


拡大する


拡大する

10月14日

(去来への手紙より)

・・の長文草臥れ候間、重ねて申し進ずべく候。以上
(元禄七年)正月二十九
去来様
頃日初めて発句致し候

腫物に柳のさはるしなへ哉 芭蕉
(はれものに やなぎのさわる しなえかな)

大宗匠亡くなる年の第一作目の句。

良いのやら悪いのやら、なんとも難しい句だわさ。

ところで、

漢字の「撓」は、乱れる・乱すとか、たわめる・たわむ・捩じ曲げる・たじろぐなどあまりいいニュアンスを持つ言葉ではない。

でも、日本語で使うと 撓ひ(しない)・撓ふ(しなう)とガラリと変わって、デリケートで優雅でちょっと色っぽさまで持つ言葉となる。

であるがゆえに、

今日の芭蕉句には実はセクシュアルな響きが有るだの無いのだ・・・とか。

さてさてダラダラ長いフリになったが、 芭蕉が句評でよく使った言葉に、撓り(しほり)というのがあるそうだ。

先師 此句 ”しほり有り” と評し給ひしと也。 惣じて句の寂ビ・位・細み・しほりの事は、言語筆頭に應しがたし。(去来抄の修行教より)

人事や自然に対する作者の細やかな心が、余情として句に自然にあらわれること。

とし、これを芭蕉の俳諧の理念の一つとしたんだと。

十団子も小粒になりぬ秋の風 許六
(とおだごも こつぶになりぬ あきのかぜ)

元禄五年許六入門時の句に感心し、”しをりが有る” と誉めた句だそうだ。

????

全く ”枝折” もされない実(身)

熟れ時に誰もさはらぬハナミズキ 半可ξ
(うれどきに たれもさわらぬ はなみずき)

超不味いのだそうだ。毒もあるとか。


拡大する

10月15日

声澄みて北斗にひびく砧哉 芭蕉
(こえすみて ほくとにひびく きぬたかな)

元禄三年二月刊の「新撰都曲みやこぶり」に入集。

下地に

子夜呉歌 李白
長安 一片の月
萬戸 衣を擣つの聲
秋風 吹いて盡きず
總て是 玉關の情
何れの日か 胡虜を平らげて
良人 遠征を罷めん

があるとか。


拡大する

さてさて、

本日午から空澄み過ぎてド晴天。

まさに It's fine today. 

傍をお芋屋さんがゆっくりと「いしやーーきいも」

空澄みて北都にひびく焼芋屋 半可ξ
(そらすみて ほくとにひびく やきいもや)


拡大する

10月22日

富士の風や扇にのせて江戸土産 芭蕉
(ふじのかぜや おうぎにのせて えどみやげ)

延宝四年六月。

伊賀上野へ帰郷の途中、美濃垂井に住む高畑市隠のところの歌仙で詠んだ。

33歳まだまだ若い桃青売り出し中時代だ。

さてさて、

今週末から数日東京に行くが、台風の動向が気になる。

あんバタサンや荷物にかてて江戸土産 半可ξ
(あんばたさんや にもつにかてて えどみやげ)


拡大する

10月31日

雲を根に富士は杉形の茂りかな 芭蕉
(くもをねに ふじはすぎなりの しげりかな)

延宝四年、芭蕉33歳の時の作。

前回取り上げた
富士の風や扇にのせて江戸土産 と同時期の作。

結局、アンバタサンは、お土産にできなかった。超人気で、どの店も開店30分で完売とか。

そんなに美味いのか?
実は余もまだ食したことがない。

今回もお土産は六花亭のマルセイバターサンド。

さて、帰り、ご覧の窓風景。

雲を根に富士は杉形の茂りかな
でありました。

秋の日や三度登りし富士の峰 半可ξ
(あきのひや みたびのぼりし ふじのみね)

秋の日は早く暮れてしまう。慌ただしさや忙しさの中の物寂しさがございます。


拡大する

囂kamabisuan庵