囂kamabisuan庵

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11月5日

鶏頭や雁の来る時なほ赤し 芭蕉
(けいとうや かりのくるとき なおあかし)

元禄七年。

ケイトウという花は別名「雁来紅がんらいこう」ともいう説もあるとかでの一句。

秋も深まって、雁が大挙して我が物顔でやって来た。

それだから、先住鳥の鶏さんが頭にきて真っ赤になって怒っているというお話だ。

えへへ・・嘘!? いやいや ほんと!?

余の住む街の小さな公園の一角に、秋になると、それは見事に赤く燃える垣根がある。

なんて言う木なんだろうと「き」になって調べたら、真っ赤っかっかに染まることや茎の形状や実の自爆などの特徴から、どうやら「ニシキギ」という木らしい。

今年もニシキギは真っ赤になりました。

今日は旧暦十月一日。雁が飛来する季節です。

で、

ニシキギや雁の来る時なほ赤し 半可ξ
(にしきぎや かりのくるとき なほあかし)

さてさて、

上五が ニシキギだと普通!?・・でしょ。

だけど、鶏頭だと、うまく落ちてると思いませんか。

トサカに来るから面白いんですな。


11月7日

秋深き隣は何をする人ぞ 芭蕉
(あきふかき となりはなにを するひとぞ)

芭蕉といえばこの句というくらい有名な句ですな。

元禄七年九月二十八日の夜、芭蕉最後となる俳席が畦止(けいし)亭で開かれた。

その夜、翌二十九日の芝柏亭での句会の発句としてこの句を送った。と。

芭蕉さんは二十九日に体調が急変し、およそ2週後十月十二日に身罷る。

・・・

さてさて、さて、

ずーっと昔、今みたいにインターネットで映像が簡単に見られない時代に、ビデオレンタルをお安くお得に済まそうという魂胆で、株主優待を期待してゲオの株をほんの少し購入した。

最近はゲオの方はほとんどご無沙汰だが、配当として半期ごとに現金およそ1000円と、それに系列の2nd streetの1000円につき500円引きのクーポンが4枚が送られてくる。

で、年に一度、2nd streetをのぞいては、45千円の商品を実質出費ほぼゼロで買っては罪悪感のないちっぽけな無駄遣いをして遊ぶ。

去年はブルーレイディスクレコーダーを2000円位の追銭で買った。

今年は・・今のお手元暖房が大きすぎるのでちいちゃい温風暖房を只でいただいた。クーポンはまだ1000円分残っている。


しかもついでに、70%引きに異常反応してしまい、隣にあるものを衝動買いしてしまった。

恥ずかしいので家人が散歩に出たときにこっそり飛ばしてみたが、結構難しい!!

おまけにピーピーガーガーとうるさい。

秋深きおらはドローンをする人ぞ 半可ξ
(あきふかき おらはドローンを するひとぞ)


11月9日

屏風には山を画書いて冬籠り 芭蕉
(びょうぶには やまをえがいて ふゆごもり)

元禄二年初冬。

伊賀の門人平仲宅訪問時の挨拶吟と。

屏風に描かれた山ってどんなんでしょうかね。

仙人が住む神仙世界が展開される山水画なんでしょうか。

さてさて、

ずーっと昔、実家の庭の柿を毎年おふくろさんが送ってくれていた。


近年は、兄がその家的習慣を引き継ぎ、某デパートの某八百一の柿にランクアップしたが毎年律儀に送ってくれる。

ありがたいことだ。

いつものようにお礼状を画書く。

手紙には柿を画書いて冬籠 半可ξ
(てがみには かきをえがいて ふゆごもり)

これでほとんど、この一年の我が年中行事が終わった気分になる。


11月12日

木曽の秋に痩せほそり芭蕉庵に

籠り居給ひし冬

五つ六つ茶の子にならぶ囲炉裏哉 芭蕉
(いつつむつ ちゃのこにならぶ いろりかな)

元禄元年『更科紀行』を終えた直後の冬。

「きんつば」あり「大福」あり「羊羹」あり「落雁」あり・・

旅疲れの芭蕉さんを お弟子たちが、お酒じゃなくお菓子を持ち寄っての慰労会・・?

お酒好きの芭蕉さん、よほどのお疲れと見えますな。

さてさて、さて、

とあるホームページに、1.5vの乾電池では通常発光しないLED豆ライトを、1.5vで発光させちゃうJoule Seek回路という優れもの回路が紹介されていた。

しかもこの回路はヨレヨレに疲労し、普通ならポイステの乾電池でも、見事に回春?させるそうだ。

トランジスタと電気抵抗とコンデンサと手巻きコイルがあればすぐできる。

「トランジスタ」あり「電気抵抗」あり「コンデンサ」あり「手巻きコイル用エナメル線」あり。

早速トライ。

電気抵抗の大小は、コイルの巻き数や銅線の太さなどで左右されるようで、これは? これでは? で、やっと、とあるホームページの10KΩの約2倍の、22KΩで収まった。

この辺の塩梅は、常に適当。

で、ダメだったらいろいろ代えて試してみる。

理科系無脳でもこのくらいはできる。


ご覧あれ、

写真の LED1は、1.5v電源にダイレクトに繋がれているが不点灯だ。

一方、Joule thief回路に組み込まれた LED2は、見事に「エネルギーを盗んで」いた。

で、なんだっう話ですが・・

五つ六つ部品ならべむ冬籠り 半可ξ
(いつつむつ ぶひんならべん ふゆごもり)

おしまい。

[後日]

きちんと畳んで小さくなりました。

11月20日

十六夜はわづかに闇の初め哉 芭蕉
(いざよいは わずかにやみの はじめかな)

元禄六年八月十六日。

一昨夜が満月で昨日は旧暦十月の十六日。

今日は二の酉、明日は小雪。

もう本州でも雪の季節を迎えているというのに、札幌は一昨夜四半どき霙だか霰だかがパラパラと降って、初雪!!!だと。

天からの白い便りをワクワクと見ることもなく、拍子抜けする今年の雪の始まりだわさ。

初雪はわずかに闇の初め哉 半可ξ
(はつゆきは わずかにやみの はじめかな)

こうして、ちょっとずつちょっとずつ厳しい冬がやってくる。

さてさて、さて、

ちょっとずつちょっとずつの「今日の芭蕉句」も曲がりなりにも400回を超えた。

塵を集めて山にしているだけだが、実はこれ、プログラムで遊ぶための材料として余には必要なゴミだ。

そこで。これを機に余のホームページのこのアーカイブコンテンツをスマートに作りなおした。


従来は月ごとにスクリプトファイルを書いて足していたが、これからは、年度月別フォルダーにテーマテキストと画像などを放り込めばお終いとした。

そんなこと実は十年前は全くできなかったが、ジジイの手習い、不思議とできるようになった。

425のtextファイルと698の画像などを、たった150〜160行のスクリプトで支配できたなんて、結構嬉しいもんですぜ。

web界のゴミ屋敷だけにはならないよう気をつけます。

11月23日

笵蠡(はんれい)が長男の心を言へる山家集の題に習ふ

一露もこぼさぬ菊の氷かな 芭蕉
(ひとつゆも こぼさぬきくの こおりかな)

晩秋初冬、霜氷をびっしりくっつけて、朝日に輝いている野菊の景を、笵蠡のせがれの故事に見立てたっうことですな。

お話は、笵蠡という中国春秋時代の越の将軍上がりの金持ちが、長男の犯した罪を金でもみ消せと、長男に大金を持たせたが、長男は金が惜しくなりポケットにしまいこんで、結局、捕まって死刑になっちゃったとか。

その故事を引いて西行が山家集下巻雑に、


 笵蠡が長男の心
 捨てやらで命を終ふる人はみな
 千々の黄金を持て帰るなり

と詠んだ。

紀元前7世紀のおバカ伝説を、12世紀の歌人が、どうしようもないねと取り上げ、17世紀の俳人がパロってるっう構図ですな。

お金なんて惜しんでないでじゃんじゃん使わにゃダメダメと、今の日本の政府言うみたいなことを、人間という生物は太古から延々と言い続けてきたんですな。

人類史上化石化している自己責任を求める社会文化の溝い溝を改めて感じますな。

つまり、人って一向に進化をしない唯一の生物なんではないかと思いません。

社会的に自己があり、自己のために自己がない、悲しい話ですな。

一言もこぼさぬ詫びや永き日び 半可ξ
(ひとことも こぼさぬわびや ながきひび)


中央地方政界人の、自己に対するぬるぬるぬるい感覚の春はいつまで続くのでしょうか。

11月27日

冬瓜やたがひに変る顔の形 芭蕉
(とうがんや たがいにかわる かおのなり)

元禄七年伊賀上野での作。と。

支考編西華集に、「此の句は、伊賀に居給へる時の作なり。是には、『老女に遭ふ』などいへる題もあらばやと申されしか」とある。とか。

おばば達が陽だまりに寄り集まって世間話でもしてるんでしょうかね。

若い時の瓜実顔も、お仕舞い時期(冬)にはみんなぷっくらしわしわ、どれも同じように見えるけど、ちょっとずつ違うぞってか。

冬瓜は「冬」とあるが初秋の季語。

包丁を入れていない状態であれば、常温で2~3カ月は保存がきくのだそうだ。

さてさて、さて、

久々に、まいど!って吾が街に雪の朝がやってきた。


太陽がちょっと雲間から覗いたら、アッと言う間に街の表情が変わった。


老人ホーム達の朝
朝の雪たがいに変わる顔の形 半可ξ
(あさのゆき たがいにかわる かおのなり)

積雪まではあと数週間だ。

囂kamabisuan庵