囂kamabisuan庵

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12月5日

露凍てて筆に汲み干す清水哉 芭蕉
(つゆいてて ふでにくみほす しみずかな)

貞亨四年冬。『笈の小文』の旅中、名古屋で十吟二十四句の発句。

清水に氷が張って、おやおや、硯にとろうにも一筆分の水しかない。とか。

さてさて、さて、

正岡子規の墨汁一滴を真似たわけではないが、老ぼれ余も文字を書かないと忘れちゃうという現象に恐れをなし、数年前から、日に数行のメモ日記を毛筆で書いている。


近々つくづく思うのは、「水滴」という水差し道具の合理性と便利なことだ。


毎回ほんの一滴二滴、硯の海に垂らし、軽く墨で水をのばすように数回擦ってやれば、海底の乾いた墨がじんわり溶け出してちょうど良い濃さと分量の墨汁が塩梅よくできる。



まさに墨汁一滴。

昔はいちいち水を入れすぎていたのだ。

顔彩絵の具を使うときの要領で全く良いのだ。

しかしながら、

同じ墨汁一滴でも、かたや20世紀の天下一品、こなた21世紀の天下一下品。

わっはっは!

今日は晴れ硯に一二冬の水 半可ξ
(きょうははれ すずりにいちに ふゆのみず)

12月7日

この道を行く人なしに秋の暮 芭蕉
(このみちを いくひとなしに あきのくれ)

元禄七年九月二十三日付け、郷里の意専土芳宛の書簡に、秋暮と題してある句。

なんとも寂しくも哀しく寂寥感の漂う句でありますな。

さてさて、さて、

第6波だオミクロンだと騒がしいが、異常なほどに鎮静化しているのが日本。

徐々にいいんじゃね?!と、行動規制緩和が始まっています。

嬉しいような、怖いようなでございます。

ただただ、医療のバック体制さえしっかりしていればよろしいんですがね。

さてさて、さて、

余が部屋の住人も、お籠り生活が辛くてか、スイッチポンで勝手に歩き回わっちゃうのだが、

やっと「お止まり!お行き!」だけは、仕付けることができました。

今は「お戻り!」をさせるため、秋葉原からの援軍を待っています。

最終的には、方向転換をセルフでできるようにさせたいのだが、余の今の思考回路にはその方法のいいプランが全く浮かびあがりません。

はて?はて?

完成図あてどもなしに秋の暮 半可ξ
(かんせいず あてどもなしに あきのくれ)


12月9日

元禄七年年閏五月二十一日付け 杉山杉風宛書簡

膳所の便、啓上いたし候。そこもと相変り御座無く候や、
(長文につき中略)
火の用心よく仕り候やうに仰せ付けられ下さるべく候。このたび、所々状かずこれ有り候あひだ、重ねてつぶさに申し進ずべく候。 以上
  五月十一日
           ばせを
杉風様
  荷兮(注:愛知県名古屋市山本医院山本武右衛門)かたにて

世を旅に代掻く小田の行きもどり 芭蕉
(よをたびに しろかくおだの いきもどり)

この句は、日本国じゅうを齷齪(あくせく)と旅してきた自分の人生を、田植え馬に例えての、大宗匠の戯れ冗句。

今の時代だと(;^ω^) とか
(*´罒`*)ニヒヒ と顔文字を後ろにくっつけたんじゃないですかね?

まさかこんなのが、作品として残るなんて、大宗匠、考えてもいなかったと思います。

そんな意味で、後世人は残酷なお節介者でござんすな。

それとも、自己顕示欲もりもりの大宗匠なんでしょうかな?

わかりません!!

さてさて、さて、

アキバから援軍が届きました。


DCモータードライバと申しまして、マイコン(現場監督)からの指示信号を受け、DCモーターに電気注入?のコントロールをする現業職です。

これによってDCモーターの正逆回転が「アンダーコントロール」となるので、我がロボさんは前進後退が自由にできることになるのです。

たぶん!?

吾のロボや代掻く小田の行きもどり 半可ξ
(あのロボや しろかくおだの いきもどり)

 ↑とりあえずの目標! (*´罒`*)ニヒヒ

<追記>

2021年12月10日 とりあえずブレッドボードテストは大成功!!!
心配していた発熱はほぼない。
さすが! 低電圧でも大丈夫。
本番での負荷にはテスト電圧以上が必要となりそうだ。

12月12日

稲こきの姥もめでたし菊の花 芭蕉
(いねこきの うばもめでたし きくのはな)

元禄四年秋。奥の細道の旅も終わり、江戸へ向かう途中の彦根で、出会った人の友人宅に招かれて、と。

収穫の秋のハッピーな情景描写でござる。

腰の曲がった婆様までも嬉しそうに稲こきしてござるよ。

みんな一生懸命さ。平和だねーぇ。秋だねーぇ。

さてさて、さて、

ついに、あの四足歩行ロボ氏が、後ずさりを覚えました。

もちろん未だ「人間」の手にあるリモコンに操られ?ているのだが、徐々に「人格」みたいな存在感を見せてきた。

「屁っ放り腰」ぶりがなんともいい。

面倒を見ている屁っ放き(へっこき)爺いもまた嬉しい。

屁っ放の叟もめでたし菊の花 半可ξ
(へっこきの じじもめでたし きくのはな)


12月13日

二月吉日とて是橘(ぜきつ)が剃髪、入医門を賀す

初午に狐の剃りし頭哉 芭蕉
(はつうまに きつねのそりし あたまかな)

元禄六年。

其角の従僕の是橘(ぜきつ)クンが、お医者さんである其角の親父の東順さんに入門し医学を学ぶことになり、頭をツルツルに・・。

そのツルツル頭を「おいおい、アンちゃんがお医者様に?・・狐に化かされてんじゃないの?・・それなのに頭丸めちゃってさ! あはは・・」と冗談おかしく祝ってる句だと。

その場に居合わせる人々との、気の置けないフランクなお付き合いぶりが垣間見られる一句でありますと。

さてさて、さて、

ここに電子工作に取り憑かれているジジイがいます。

ジジイは、「ジジイの駄菓子屋」電子部品屋さんが大好きです。

やることがいっぱいあるのに、材料費がめちゃめちゃ安いから、ワンコインで相当時間遊べます。

そんで、

電気の「で」の字もよく知らないジジイは、日々「なんで?」「どうして?」ばかり繰り返しながら、やっと四足歩行ロボくんを「前進・後退・停止」まで調教してきました。

次は、パンにピンをいっぱい刺したモヒカン頭をなんとかせにゃなりません。

苦手な半田でジュージューです。

パンチパーマになっちゃって奴さんグレなければいいがと周りは心配しています。

半田ゴテ焼くる匂いや冬の凪 半可ξ
(はんだごて やくるにほいや ふゆのなぎ)

ジジイの最終目標は、ほっといたら好きなように部屋中を歩き回れる、ルンバみたいなヤツを死ぬまでに完成させたく思っているそうです。


12月17日

今日の芭蕉句

蛤の生けるかひあれ年の暮 芭蕉
(はまぐりの いけるかいあれ としのくれ)

元禄五年十二月。

お正月は、蛤のお吸い物でしょうかね?それとも焼き蛤?

でもさ、蛤の「生きる甲斐」って、人に喰われちまうことだよね。

蛤って優しいんだ・・・

さてさて、さて

数ヶ月前、たった一年数ヶ月しか使っていない2019年製の圧力IH炊飯器が、突然、焼きハマグリになっちゃいました。


どうやっても、開いた口が締まらんのです。

電話の向こうでは、一年の保証期限は過ぎているので、修理に出すと数週間の時間と、手間賃・送料・部品代で、大の2枚近くはかかると言う。

えええ・・

頭にきた家人は、さっさと別メーカーの炊飯器を買ってきて、余はジャンク品のハマグリを手に入れた。

先日、ジャンク品のハマグリを解体し、なんか使えそうな部品・・例えば、液晶ディスプレイとか・・をゲットしようと、バラシ始めたのだが、

少しバラシてみて、すぐに、蓋を開けるパーツさえ手に入れれば、不具合はたちどころに解消することがわかった。

で、

バラシは中止し、樹脂製の変形故障のイカレ部品を取り外し、細かに採寸し、図面を引き、かまぼこ板を切って、削って、代用の「木製」パーツを完成させた。


ノープロブレム。
うまくできちゃいました。
木目もクールで仕上がりも気に入った。


でも、

考えちゃいました。

機械本体は「何の異常もなく」立派に使えるのに、

「わざわざ」顧客が一番接触するインターフェース部分を「オンボロ」素材で「オンボロ」に作ってある。

大げさにいえば、

ドアノブが壊れたら、中古の家が買えるほどの「ど」高い修理費を払うか、新しい家を買い替えるなりしなさい、と言うレベルの話ですわ。

なんか、意図的に経年故障を誘発させて、新型商品への買い替えを目論んでいるとしたら最悪ですな。

淋しい made in japan でございました。

かまぼこ板の生かし甲斐あり年の暮 半可ξ
(かまぼこいたの いかしがいあり としのくれ)

囂kamabisuan庵