囂kamabisuan庵

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9月1日

糸桜こや帰るさの足もつれ 松尾宗房
(いとざくら こやかえるさの あしもつれ)

伊賀上野時代の句。宗房は本名とか。

さて、「こや帰る」の「こや」は、「子や帰る」でも「小屋帰る」でもなく、帰るを強調する、「さあさあ!」「いざ!いざ!」みたいな調子を与える言葉。

では、「帰るさ」の「さ」はなに?

もちろん、沖縄弁の「行くさー」の「さー」ではない。

この「さ」、動詞の後ろにくっいて時や場面を表すんだと。

つまり、「帰る時」とか「帰るにあたって」ということ。

「笑ふさ」は、笑っている時や笑っている場面となるのさ!?

さてさて、さて、

ひと月ほど前からの古文書読みの練習で始めた「桜谷百首」の翻刻は、やっと五・六合目ほどに。

その中の一首にも、この「さ」があった。

桜谷百首のその「さ」が使われている句には筆者の頭注があって、「さいですか」と難なくパスできたが、それがなければ大変。

そんなわけで、頂上制覇を阻むのは、ポンコツ爺さんの無知に起因するものばかり。

でも、じーっと睨んでいると、「もしかして」と頭の中で誰かが呟くようにすこーしなってきた。

これが、「慣れろ!!」ということか。

でも、文字を思い浮かべて並べても、意味が全く解らない。

つまり、文字の選択や解釈がまちがっている!!だけ。

なんてことばかりで、爺さん 苦しんでおります。

こんなこと、やったからといって、何の得にもならないかと思われそうだが、暇すぎる老人にはとてもありがたい遊び。

それに、爺さん、基本自分用だけど、HPに載せるのでレイアウトあちゃこちゃプログラムしたりの副産物作業もあって、ダイレクトにもインダイレクトにも、とてもとても、ボケの進行減速に役立っていると自己満足。

さらに、日ハムが弱すぎて、野球を楽しみながらの長い時間つぶしができない地獄の現実からも、おかげで、逃れることができるのですわ。

古文書を読むさ十粒の落花生 半可ξ
(こもんじょを よむさとつぶの らっかせい)

9月6日

十五夜

米くるる友を今宵の月の客 芭蕉
(よねくるる ともをこよいの つきのきゃく)

元禄四年八月十五日、義仲寺無名庵にて。と。

徒然草に、

友とするに悪き者、七つあり。

一つには、高く、やんごとなき人。二つには、若き人。三つには、病なく、身強き人、四つには、酒を好む人。五つには、たけく、勇める兵。六つには、虚言する人。七つには、欲深き人。

よき友、三つあり。

一つには、物くるゝ友。二つには医師。三つには、智恵ある友。

だそうで、物もらって大喜びの宗匠もただの俗人。

ただし、現代はなんと、よき友の三つも、立場を変えれば、悪き友になっちまう時代でごんす。

ねえ 安倍くん高橋くん青木くん。

さてさて、さて、

物くるるといえば、
物くるる人は友じゃなくて兄だが、毎年今頃来年のカレンダーが届く。

早速判じ物スタイル写真構成のお礼ハガキを送った。

来年も一つよろしく菜種蒔く 半可ξ
(らいねんも ひとつよろしく なたねまく)

囂kamabisuan庵