囂kamabisuan庵

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9月3日

岱水亭にて

影待や菊の香のする豆腐串 芭蕉
(かげまちや きくのかのする とうふぐし)

元禄六年九月中頃。と。

影には「光。日・月・火などの光。また、日ざし。(新漢語林 第二版)」と言った意味もあり、「影待」とはつまり民間行事の「日待ち」の事だそうだす。

日待ちは、年に一二度三度人々が集まり徹夜で酒食したり余興に興じたりでワイワイ盛り上がりながら太陽の昇るのを待ち、日の出を有り難く拝むという、言わば庶民の天の岩戸伝説の体験イベントみたいなもんですな。

芭蕉さんもこのワイワイにご招待されての一句だとある。

しかしそれにしては句がそして状況がキレイすぎませんかね。

余は、芭蕉さんが岱水亭に「月見会」で招かれ、まるで「日待ち」に来てる時のように、ワクワクドキドキ興奮しているザンスよと月待ちを日待ちに洒落て、お招きに好意を見せている句だと思いますだ。

よって、影はそのものずばり月光。

俗を離れて雅にいて、俗を思い起こさせ雅に収める。
上手ヨイショだす。

ところで、
札幌国際芸術祭 2017

ヘンなのもイイものも俗も雅も判別不可な現代美術のカオスであることは笑ってゆるそう。

中でも判りやすくてすきな作品 『札幌ループライン』

ジオラマの市街地を行く市電模型のライトが、バックの大きなホリゾントにすてきな街の影を走馬燈のように映し出しながら進みます。ガタンゴトン。

雪祭り会場で好評だった作品らしい。

影街や老人の日の泣かせ処 半可ξ
(かげまちや ろうじんのひの なかせどこ)


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9月7日

果の朔日の朝から

節季候の来れば風雅も師走哉 芭蕉
(せきぞろの くればふうがも しはすかな)

元禄三年師走朔日。だと。

節季候って年が押しつまったころから出てくる門付け芸人だと。

果の朔日は「はてのついたち」と。「果て」は師走のこと。

江戸時代の歳末助け合いみたいなもんで、門付け芸人、実は物乞いの乞食芸人達だが、師走の一時期は堂々公認で練り歩くことができるのだそうだ。

そんな輩が現れると、ちょっと風雅をかじっとるおっさん達も歳末年始に気分を華々しく盛り上げていくわけだわさ。と。

さて、今年も九月になってすぐに「歳時記カレンダー」を戴いた。

カレンダーの来ても風雅は秋半ば 半可ξ
(かれんだーの きてもふうがは あきなかば)

取り敢えずお礼状出す。

来年のことを・・で鬼が笑う去年
たびたびの繰り返しに感謝の誠も繰り返して右今年

それにしても早いもので・・


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9月8日

冬の句だけど

葱白く洗ひたてたる寒さ哉 芭蕉
(ねぶかしろく あらいたてたる さむさかな)

元禄四年十月。元禄二年秋以来の上方在住から江戸へ戻る帰路、美濃の国垂井の本龍寺での作。と。 本龍寺の住職規外(または矩外)は芭蕉の門人。と。

好きな句です。

芭蕉さん久しぶりに関東流の白ネギ(根深)に遭遇して実は、あああこれから本格的に寒い地方に行かにゃなんのかとぼやいているのかも。

さてさて、余は本日、芸術の森へ寄った帰り、正直庵というちょびっと人気のある蕎麦屋で遅昼をとった。

おおもりを下さいと余

薬味はネギだけですがよろしいですかとおばさん店員さん

つまりこのお店のローカルルールは

「もり」の薬味はネギのみ700円
「せいろ」の薬味はネギとわさびで750円
「ざる」の薬味はネギとわさびと海苔が付き800円

ヘンなの!と思ったがそのまま「大盛り」をたのんだ。

秋高し大盛りにして山葵ぬき 半可ξ
(あきたかし おおもりにして わさびぬき)


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9月12日

なに喰うて小家は秋の柳陰 芭蕉
(なにくうて こいえはあきの やなぎかげ)

四十才代から晩年の作と。

貧しい小家が一軒、柳の木の下に立っている。

一体全体、この家の人たちは何を生活のかてにしているのであろうか ?だと。

森の中に瀟洒な一軒、庭の鈴懸の木が目印。

ここはおいしいイタリアンレストラン。

店の名は、ラ・フオルケッタ。イタリア語のフォーク。

ランチコースお委せで、3,240円。

なに喰わむ小家は秋のランチ時 半可ξ
(なにくわん こいえはあきの らんちとき)


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9月28日

寒草

霜枯に咲くは辛気の花野哉 芭蕉
(しもがれに さくはしんきの はなのかな)

寛文七年、24歳。と。

「辛気」は心がくさくさすること。

冬枯れてしまった野に花は咲かない。

春から秋まであんなに花が咲いた花野も今や花はなく、「辛気の花野」と言うべき状態だ。と。

世相

ある時の政権が政治のあり方で極端な差別を用い特定の勢力に便宜を払い、また、生殺与奪権を握られている役人どもがそれらを確実に遂行するため忖度をもって法律を曲げ悪事を隠し、政治は乱れ民心(みんしん)はひどく混乱した。

霜枯に咲くは辛気の野党哉 半可ξ
(しもがれに さくはしんきの やとうかな)


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